池研究室 x SDGs

わたしたちは生物の力を利用した環境・資源の持続利用技術を開発し、 SDGsを達成します。

バイオ・エコテクノロジーによる環境・資源保全技術の確立と社会実装を目指す

環境・資源を守るための生物の活用法には多様なアプローチがあります。

  • 環境中に存在する生物を活性化

自然・半自然状態のまま環境条件を最適化することで、本来自然に備わっている生物機能を刺激し最大限に発揮させます。

  • 特殊・特別な生物・生物作用の活用

環境浄化などに適した機能を持つ生物を探り出し、バイオリアクターなどにより最適環境条件に整えた中で最大限に能力を発揮させます。

  • 遺伝子操作等による生物機能の改変

生物のDNAを改変することで優れた機能を持つ遺伝子組換え生物を生み出し活用します。

  • 生物機能の模倣

生物材料や生物反応を十分に理解し、物理・化学的技術によるそれらを再現して活用します。

ウキクサでバイオマス資源をつくる

ウキクサは水質浄化を行いながら資源生産が可能で、また水栽培なので食料生産に必要となる農地を圧迫することのない有望なバイオマス資源です。わたしたちは、ウキクサの成長に影響を及ぼすウキクサ根圏の細菌群集を制御する研究開発を通じて、バイオマス生産の効率化を目指しています。

バイオマスとは

動植物に由来する再生利用可能な有機性の資源であり、木材、海草、生ごみ、動物の死がい、ふん尿、プランクトンなどが含まれる。

池先生

ウキクサの生育には、共生細菌が大きな影響を及ぼします。わたしたちは、ウキクサと共生するようモデル細菌群集を人工的に作成し、生育に及ぼす影響を解明しています。

微生物の持つ金属代謝能を利用して排水からの資源回収技術の確立を目指す

レアメタルは現代の科学技術を支える重要な資源のひとつである一方で、これらの多くが環境中では有害な物質となることが知られています。わたしたちは、微生物のもつ多様な金属代謝能を利用して排水から有害性の高いレアメタルを資源として回収できる技術の研究開発を行っています。

池先生

排水中のセレン、テルルを低コストで無毒化し、回収する技術を確立しました。この技術を応用して、先端産業で利用される化合物半導体を、排水を原料にして微生物合成するプロセスにまで発展させることを目指しています。

下排水中の有害化学物質を効率的に分解する水処理技術を開発し実装する

わたしたちは、発がん性の疑いを有し難分解性である1,4-ジオキサンという物質を分解菌によって除去する、新たな排水処理技術の確立を目的とした研究をしています。

井上先生

1,4-ジオキサンはこれまでに開発された排水処理技術では効率的に除去することができない非常に厄介な化学物質です。微生物を用いて1,4-ジオキサンを効率的に除去する技術が実用化されれば、世界で初めての純粋菌を使った排水処理技術になります。1,4-ジオキサン以外にも多様な有害化学物質の処理技術の開発を手掛けてきています。

下排水中の有機物をエネルギーや資源価値の高い物質へ作り変えるシステムの確立を目指す

下水処理で発生する余剰汚泥にはバイオプラスチック資源を産生する微生物が含まれていることがわかりました。わたしたちは、排水中の有機物を原料に、バイオプラスチックを効率的に生産し、高純度で回収する技術の研究開発を行っています。

井上先生

下水からメタン(天然ガスの主成分)を生産し、下水処理場のエネルギー自立を可能とする研究も行っています。下排水を原料にエネルギー資源や多種多様な化成品を生み出すシステムの確立は、循環型社会の構築に大きな役割を持つと考えています。

わたしたちの環境・資源保全への取り組み